私、ヤマザキマリさんの大ファン!なんです!!!
歴史好きな私にとってヤマザキさんの作品は色んな国へのどこでもドアみたいなものです。
リアド・サトゥフさんとの対談も聞きに行きました。
https://sowondermaps.com/entry/2019-10-19-mirainoababujin
今回は、私の独断と偏見で漫画ベスト5を選んでみました。
しかも、大ベストセラーのテルマエロマエは外してのベスト5です。

テルマエ・ロマエ コミック 全6巻完結セット (ビームコミックス)
- 作者:ヤマザキマリ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2013/06/25
- メディア: コミック
ヤマザキさんを紹介する時に、
「テルマエロマエのヤマザキマリ」
とよく言われていますが、このお方、それだけではありません!
あれはヤマザキさんの一部であって、他にも面白い作品が沢山あります。
というわけで、今回は敢えてテルマエロマエを外しました。
(ヤマザキさんはエッセイも多く出版していますが、今回は漫画に絞ってベスト5を選んでいます。)
5位 モーレツ!イタリア家族
もうね、普通の家族ではないです。モーレツ過ぎます。
面白おかしくギャグ漫画に仕上げていますが、この家で暮らすのは相当体力を使うことでしょう。。
イタリアで生活なんて素敵♡
何て気分を思いっきりぶち壊してくれています。
イタリアにはまだ行った事がない私ですが、旅行する気も少し萎えちゃうくらい激しい。
日本のカミナリ親父とか可愛いくらいですよ、ほんと。
ちなみに私はアントニオ(ヤマザキさんの夫の父)のファンです。
この漫画はヤマザキさんが原作無しで描いた初めての作品。
写実の油絵を長くやっていたので、キャラクターを描くのに苦心されたとか。絵柄はまだ漫画に慣れていない感じがありますが、何せそれをカバーするキャラの濃さがポイントですね。
簡単なイタリア語の解説もついていますので、旅の準備に一冊、是非に。
4位 アラビア猫のゴルム

- 作者:ヤマザキ マリ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/04/25
- メディア: コミック

- 作者:ヤマザキマリ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/04/11
- メディア: Kindle版
全2巻。
ヤマザキさんの猫へのタダならぬ思いが散りばめられている作品。
猫好きは必読。
中東のシリア、ダマスカスで暮らしていた時に拾った猫ゴルムとの出逢いや飼うまでに至った経緯が(ほぼ)ゴルム目線で描かれています。
中東では猫はかなり可愛がられる存在のようです。街中に猫がいるらしい。いいな。
(犬は不浄の動物とされているそうです。。)
中東はお風呂もないし、宗教上豚肉も食べられないから大好きなトンカツも食べれないし、これで猫まで居なかったら心が荒んじゃう!
という切迫した部分もチラホラ。
絵柄がとにかく可愛い!です。
巻末についているゴルムの写真は本当に可愛くて、
路端にいたら拾っちゃうなぁ…
せめて危なくないところに…
と思わせてくれます。
息子のデルス君や旦那さんのベッピさんも含めて、
猫と人間
という漫画家らしいテーマも含む作品だなと思います。
最近出版された漫画家と猫
こちらも合わせて読む事で、ヤマザキさんにとっての猫がどういった存在かが分かります。
猫好きもそうでない方も是非に。
3位 ルミとマヤとその周辺

- 作者:ヤマザキ マリ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/10
- メディア: コミック

- 作者:ヤマザキ マリ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/10
- メディア: コミック
新装版は全2巻。
舞台は昭和40年代の北海道。
ヤマザキさんの自伝のような作品。
バイオリニストの母とその2人の娘ルミとマヤ。
市営団地で暮らす3人の家族とその周辺。
たくましく音楽家として生きる母。
その帰りを夜遅くまで待ちわびる娘たち。
近所のお姉さんと仲良くなったり、同級生とケンカしたり仲直りしたり。
夜ご飯は母が置いていった1000円で2人でやりくり。
虫を捕まえて部屋中に離して一緒に過ごしたり。
団地なのに捨て犬を飼っちゃったり。
ルミとマヤを取り巻く環境も多様。
貧乏だったり、不思議な縁で結ばれている血が繋がっていない家族だったり、お金持ちでも何かが歪んでしまう家族もいたり…。
昭和の混沌さと、人情味と、非情さ、でも何となく漂うあたたかみ。
駄菓子屋さんや看板屋さんなども細かく描かれています。
私も駄菓子屋さん通ったなー。
スーパーやコンビニで購入するのとはまた違った楽しみがありました。
消費税無かったし。
特に駄菓子屋さんの商品の描写が細かくて、
長く海外暮らしなのに、よく覚えているなー
と驚嘆してしまうほど!
ヨーヨー、グリコのおまけ、くじとか懐かしい!
ヤマザキさんの「日本」というタイムカプセルに封じ込められた大切な記憶に触れている感じがします。
タイムスリップグリコの中に入ってしまったらこういう感じかも?
と思わせてくれる作品です。
色んな家族が出てくるので、家族の在り方などを考えたい方にも。
是非に。
2位 世界の果てでも漫画描き

世界の果てでも漫画描き コミック 1-3巻セット (集英社クリエイティブコミックス)
- 作者:ヤマザキ マリ
- 出版社/メーカー: 集英社クリエイティブ
- 発売日: 2013/02/25
- メディア: コミック
第3巻まで刊行。
ヤマザキさんのノマド体質が全開の作品。
私はこれを読んで海外旅行、特に個人旅行に目覚めたと言っても過言ではないです。
キューバとか全然知らなかったのに、今は行ってみたい国の1つになってしまいました。
中東も行ってみたい!
現地で暮らした方の漫画なので、全然知らない土地の日常を知る事が出来るのも興味深いポイント。
旅行記とはちょっと違いますね。
個人的に1番うらやましいのは中東シリアやヨルダンの遺跡巡り!
死海、ペトラ遺跡やパルミラ、ユーフラテス川沿いの遺跡、、、
もう世界史の教科書超えちゃってる!
しかも数回ルートを変えて巡っているらしく、ほぼ制覇したそう。
古代ローマといえばイタリアのイメージですが、中東にもかなり多いそうです。
しかも乾燥している気候のおかげで保存状態がかなりいいとの事。
実はテルマエロマエの構想はここから生まれたんだとか。
壮大な古代ローマ遺跡を見ていたら、時空が歪むのも分かる気がします。
作中に描かれているヤマザキさんの旅のトラブルは尋常じゃないです。
旅にはトラブルがつきものです。
が、
これだけ旅に出ていてもこんなトラブル起こるの?
ってツッコミたくなるくらい、ヤマザキさんどこに行っても絶対トラブってるんです。
(キューバからは妊娠して帰ってきてますからね。。)
それ以外の国でのトラブルもまた激しめ。
たぶん普通の方だとトラウマレベルのトラブル。
しかも、飛行機の移動が大嫌い。
外国に行くのは自殺行為では?と思ってしまうことも。
旅好きというよりは、潜在意識下にあるノマド体質がヤマザキさんを(無理矢理)動かしてしまうのではないだろうか?
っていうか、大丈夫なん?身体…
って呟きが出るくらいです。
でも全部面白い事に消化しちゃう、そんな(無謀な)ヤマザキさんが私は大好きです。
初期の作品も2本載ってます。
ヤマザキマリを知るにはテルマエロマエよりこの3冊だと思っています。
因みにこの漫画で兼高かおるさんを知り、ファンになってしまいました。

- 作者:兼高 かおる
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/03/06
- メディア: 文庫

- 作者:兼高 かおる
- 出版社/メーカー: ビジネス社
- 発売日: 2019/03/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
この2冊も読みやすく面白いです。
私の旅欲を抑える事は当分無理だと思っています。
旅欲を刺激したい方、是非に!
第1位 プリニウス
とり・みきさんとの共著。現在新潮で連載中。第9巻まで発刊されています。
とにかく絵が重厚。絵画のようです。
スペイン語だとハードカバーで出版されていて、漫画の枠を超えた作品とも言えると思います。
ストーリーは、徐々に引き込まれていく感じです。
可愛いキャラクターも出てきません。可愛いのは猫くらいかも。
最初3巻くらいまでは正直読みやすくはないです。
この物語は何を伝えようとしているのか?
何処に向かおうとしているのか?
序盤は戸惑いの方が大きいです。
いきなり噴火のシーンから始まるので。
プリニウス一行。
古代ローマ皇帝ネロ、その妻ポッパエア。
名前のない子供(カラスと話せる)、啞の奴隷、ユダヤの民やキリスト教徒。
ローマ、ギリシャ、フェニキア、アレキサンドリアをはじめとする地中海沿岸の都市。
土地感覚がない私は何度も混乱しながら読み進めています。
何度も何度も読んで、初めてわかっていくような漫画です。
読み手に親切とは言いがたいのですが、読み進めると色んな気づきがあります。
連載が進むにつれ、ヤマザキさんの描く人物の表情がだんだんと漫画から写実になっていってます。
そこにとりさんの描く重厚な背景が組み合わされているので1ページが濃いです。
サクサク読むという感じではなく、1ページずつ味わう漫画という感じです。
プリニウスという人物は歴史家の間でも非常に人気があるとのこと。
しかし史実が少ないため、研究対象にしづらいのだとか。
作家は創作しても問題ないので、史実と創作をお二人で融合させているそうです。
恐ろしい手間と時間のかけ方だな‥
と読むたびに思います。
この作品は歴史学者も楽しんで読んでいることがわかる対談が載っているのはこちら。
こちらを読むと、本編が読みやすくなります。是非に。
実は私、歴史好きのくせに、ローマってそんなに好きじゃなかったというか、ピンとこなかったんです。
2000年前の繁栄が1000年以上って、もう時間軸が歪んじゃって、感覚的に捉えることが出来なかったというか。
プリニウスを読んで、ローマに俄然興味が湧き出したんです。
私にとって、ローマはプリニウスから始まりました。
連載が続いているので、これからの展開も本当に楽しみ。
私的に好きなプリニウスの言葉をひとつ。
教養を避けるものは人間のクズだぞ!
心に突き刺さりますね。
お二人の創作とのことですが、プリニウス言っていたんじゃないか?と思わせてしまうほど馴染んでいます。
ローマ好きもプリニウス好きも、そうでない方も、これからの方も、是非に。
番外編 オリンピア・キュクロス

オリンピア・キュクロス 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者:ヤマザキマリ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/07/19
- メディア: Kindle版

オリンピア・キュクロス 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者:ヤマザキマリ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/12/19
- メディア: Kindle版

オリンピア・キュクロス 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者:ヤマザキマリ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/07/19
- メディア: Kindle版
現在連載中。第3巻まで刊行。
1964東京オリンピックと2020東京オリンピック、古代ギリシャのオリンピックをタイムリープして繋いでいる物語。
SFの要素が多分に含まれています。
本当に面白いですし、泣いたり考えたり読み進めるのが大変です。(いい意味で)
円谷幸吉さん、手塚治虫さん、ソクラテスにプラトンまで出てきて、もう登場人物豪華すぎでカオス。
まだまだこれからもっと面白くなっていく作品だと思っています。
それ故、ランキングには含まず今回は紹介だけに。
哲学好きも是非に!
今回のランキングをまとめると以下の通りです。
第5位 モーレツ!イタリア家族
第4位 アラビア猫のゴルム
第3位 ルミとマヤとその周辺
第2位 世界の果てでも漫画描き
世界の果てでも漫画描き コミック 1-3巻セット (集英社クリエイティブコミックス)
第1位 プリニウス
番外編 オリンピア・キュクロス
オリンピア・キュクロス 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
オリンピア・キュクロス 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
オリンピア・キュクロス 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
独断と偏見で選んだヤマザキマリ漫画ベスト5の紹介でした。
気になった作品を手にとって見てくださったら嬉しいです。
誰かにとって何かの役に立ってくれれば幸いです。
長くなりましたが、お読みくださりどうもありがとうございました!