岡崎京子の「東京ガールズブラボー」を読んだら80年代の東京に行きたくなった話

サカエちゃん、あんた、、、アホすぎてかわいい!!!

私も80年代にこんな青春を過ごしてみたかった!!!!!

 

 

と唐突に書きたくなるほど面白く、くだらなく、だけど時に重いお話。

 

 

岡崎京子さんの作品が大好きな私。

全作品制覇に向け読み進めているところです。

 

今回は東京ガールズブラボーについて語りたいと思います。

 

 

東京ガールズブラボー (上)

東京ガールズブラボー (上)

  • 作者:岡崎 京子
  • 出版社/メーカー: JICC出版局
  • 発売日: 1992/12
  • メディア: 単行本
 

  

東京ガールズブラボー (下)

東京ガールズブラボー (下)

  • 作者:岡崎 京子
  • 出版社/メーカー: JICC出版局
  • 発売日: 1993/01
  • メディア: 単行本
 

 

両親の離婚により札幌から東京へ引越すことになった高校生のサカエ。

憧れの東京。

ひたすら妄想し、期待しまくり、全力暴走!

街を歩いてれば芸能人に会える!

私もこれでオシャレな人間の仲間入り!

 

この「サカエちゃんの東京への憧憬」は地方の女の子を総括したような感じ。

高校生くらいの時って、東京に行けば何でもある気がしていました。

 

何にでもなれて、何でも手に入る街

 

そんな風に思っていたような気がします。

 

 

サカエちゃんを見ると、かつての自分を見ているような気持ちになる方は少なくないのでは。

私も東京への憧れはそれなりにありました。

特にお買い物。

原宿、渋谷なんて地名を聞いただけでオシャレ。

そこで買物したら、簡単にオシャレになれる!

魔法のような、宝石箱のような、とてつもない魔力を秘めている街、東京。

 

行けばどうにでもなる!何にでもなれる!

 

という単純な思考回路で動いているサカエちゃん。

そこに立ちはだかるお金の問題。

 

そう、東京は何でも手に入るけど、それは「お金」がある人だけ

 

高校生の時って見るものなんでも欲しくなっちゃうような時期。

 

欲しい、欲しい欲しい!

 

と、恥ずかしげもなく疾走するサカエちゃん。

サカエちゃんの、時にドン引きする大胆な行動にはうらやましささえ感じてしまう。

 

ですが、なんでも目の前にある状態は果たして幸せなのか?

 

カンタンにものがあるけどカンタンに手に入んないし

でも、これみよがしにみせつけられたらどうしていいかわかんなくナル

 

いいかげんにしないと気イ狂っちゃうよ

 

これはサカエちゃんの東京でのお友達なっちゃんとミヤちゃんの言葉。 

The・資本主義。 

ファストファッションもなく、安かろう悪かろうの時代。

物欲を思いっきり刺激してくる広告や雑誌。

どうかしているというのは岡崎さんの本音だったのでは。

時代のど真ん中、あるいは時代を牽引する存在の毒を垣間見た気分。

 

それなのにサカエちゃんは

 

あたしトーキョー欲しーなー 

 

とのたまう。

サカエちゃんは東京丸ごと欲しい。

全部欲しい。欲しい欲しい

 

 

「手に入れてどうするの?」

 

なんて自問することもなく、暴走する欲を抑えることもなく突き進むサカエちゃん。

 

 

そのくせ、憧れのツバキハウスに行けばさらっとこんなことをのたまう。

 

みんな好きよ 上っつらだけの あんぽんたんな人達 

 

本当に好きなの?

と思わず聞きたくなる。

 

憧れているのに、敬意はない。

私はここにいる人になりたいだけ。

そのくせ、ここにいる人と私は違う。

私のが上。私のがマトモ。

 

という若者の図々しさが痛々しいほどに描かれています。

 

とにかく暴走する(アホな)サカエちゃん。

勉強会と偽って高校生なのに朝帰りもしちゃったり、自転車を盗んだり。

ホテルの部屋で遊びまくって男の子とトンズラしたり。

大人に怒鳴られたってヘコタレナイ。

そもそも、懲りていない。

本気で勝手極まりない。

あのエネルギー、どこから湧いているの?

 

上巻を読み終わったくらいで、軽く疲れた私。

 

描いた岡崎さんは半端なく疲れたであろう‥

 

と本気で思いました。

サカエちゃんを東京出身の岡崎さんが描いているという意外性。

 

田舎者の大暴走をここまでわかりやすくオシャレに嫌味にならず共感を呼ぶ形で表現出来ている事がとにかく凄い。

 

下巻でのサカエちゃんは上巻よりかはおとなしめ。

学校での嫌がらせにも堂々と立ち向かいます。

 

道を歩きながら逡巡をしている時に、

 

強くなりたいなあ

強く強く強く 

 

このフレーズ。

小沢健二さんの強い気持ち強い愛を思い出しました。

 

 

強い気持ち・強い愛

強い気持ち・強い愛

  • 小沢健二
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

岡崎さんは小沢健二さんの大ファン。

この辺りからも、互いへのオマージュが垣間見えます。

作品ってすごいですね。時代を容易に超えてくるんですから。

 

 

私も強くなりたいなあって思っていた時期がありますし、今も思います。

 

強くなりたいなあで終わらず、「強く強く強く」この部分に激しく共感してしまう。

 

最近、切に思うことが増えました。

 

この真剣すぎる言葉をアッパラパーなサカエちゃんにつぶやかせるところが凄い。

真面目キャラが言ってたら流しちゃう気がします。

サカエちゃんが言うから、その時代の女の子の声になる

 

「戦場のガールズライフ」って本当にそのまんま。

 

岡崎京子 戦場のガールズ・ライフ

岡崎京子 戦場のガールズ・ライフ

  • 作者:岡崎 京子
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2015/02/03
  • メディア: 大型本
 

この本も必読です! 

 

 

散々やりたい放題のサカエちゃんですが、実はこんなことつぶやく場面も。

 

本当はわかってんだ

だってそれはとてもカンタンなことなんだもん

それはとてもワクワクして

ドキドキして新鮮で胃が痛いくらい

頭痛がするくらいカッコ良くて楽しいことよ

それはすっげえカッコイイ音楽を聞いたときのような感じ

そういうことがやりたいの

でもむつかしいのは

それが具体的にどういうことでどうしたら自分で出来るかが

かいもくわかんないことだわ

 

自分は本当は何をやりたいのか?

 

はっきり言って若いときってよくわからなかったです。私も。

そして今もはっきりとは見えません。

前より経験があるだけで、選択肢が時代の変化で増えただけで、悩みの根っこは一緒。

そしてこの悩みとは死ぬまで付き合い向き合わなくてはいけない。

 

この悩みは解消するのではなく、抱えて一緒に生きて行く

 

その覚悟が決まるかどうかが大きいと私は思っています。

時に揺らぎながら、一緒に生きて行くことがしんどくて楽しいのではないでしょうか。

 

長い階段を登り生きる日々が続く

 

と小沢さんが歌うように。

 

 

下巻巻末には浅田彰さんとの対談が載っているのですが、こちらも内容が濃いです。

実は自分が生まれたくらいの時代のことって、1番知らないんですよね。

色々知るきっかけになりました。

80年代の東京に行きたいって思っちゃいますね。

サカエちゃんみたいに大暴走している子もいたのかもしれないし。

 

 

作品を読み進めていく時、高校生の自分を思い出して「ワーーーーー!!!!!」と赤面しちゃう瞬間もあったり、若い時のことって思い出すのもエネルギーいるくらい暑苦しい。

 

でも、

 

1度経験してみたかったな、こんな高校生活。

 

と思ってしまう。

 

勉強と部活に明け暮れて終わった自分の高校生活。

こんなにはっちゃけてみたかった。。

 

でも、はっちゃけた後、何が残る?その後は??

 

と思うと、あれでよかったんだと思ってみたり。

高校生の時に読んでたら、今より楽しめなかったかも。

 

イライラしたかもしれない。

そのぐらいサカエちゃんはぶっ飛んでます。 

 

 

岡崎さんは、女性の心の本質をオシャレに、時に残酷に描く天才だと思っています。 

絵は一見雑に見えるのですが、世界観そのものがおしゃれで時代をしっかりと捉えていて、今の時代に見ても楽しめます。

登場人物、特に女の子の描き方がとても好きです。ヌードも含めて。

可愛いだけじゃない、ずるさやアホさ加減もこれでもか!と描かれていて、リアル。

あと、東京タワーがいっぱい出てくるのも好き。夜景のシーンも好き。

 

 

まだまだ読んでない岡崎京子作品があるのは楽しみでもあります。

これからも読み進めていこうと思います。

 

 

 

一緒に岡崎京子作品を楽しんでくれる方が増えたら嬉しいです!

お読みいただき、どうもありがとうございました!